お口に関することわざいろいろ

 

皆さんが会話の中で何気なくお使いになっている「ことわざ(慣用句)」、その意味をしっかりと理解している方は案外少ないのではないでしょうか。

 

今回のトピックスでは、お口に関わることわざ、慣用句を集めてみました。楽しく読んで、正しく使いましょう!



【目には目を 歯には歯を】(ことわざ)

相手になにかひどいことをされたら、同じような方法で仕返しをすること。

 

目をつぶされたら相手の目をつぶし、歯を折られたら相手の歯を折るということからで、このことわざはなんとバビロニアという昔の国の法律にあった言葉だそうな!

ずいぶん物騒な法律に思えますが、泣き寝入りせずしっかりやり返せと励ましているのかな?

☆現代では、上記のように「やられたらやりかえせ」の意味で使われたり、復讐を認める野蛮な規定の典型とされたりしますが、本来の出典であるハンムラビ法典では、「倍返しのような過剰な報復を禁じ、同等の懲罰にとどめて報復合戦の拡大を防ぐ」すなわち、あらかじめ犯罪に対応する刑罰の限界を定めることが本来の趣旨だったとのこと。

 

ちなみに、手元にある日本の辞書にはなんとあるのか調べたところ、旺文社の国語辞典には「好意には好意を、敵意には敵意を返すこと」、学研の国語辞典には「相手がしたことに対して、されたとおりの仕返しをしろということ」とありました。

 

現代の慣用句としての使い方と、もともとの意味合いにギャップがあるようです。
(当ホームページをご覧になったH様より教えていただきました)


【ごまめの歯ぎしり】(ことわざ)
ちからの差が大きく、負けて当たり前な弱い者が、やたらと悔しがること。

 

「ごまめ」は、小さな魚(カタクチイワシの稚魚)を干した食べ物で、おせち料理などに使われます。
ごまめのような小さいものが歯ぎしりをして悔しがっても、どうにもならないということからだそうな。

ごまめは「田作り」ともよばれます。

田植えの時に乾燥してくだき肥料にしていたことから、田を作る魚、という意味。
最近のおせち料理は洋風が増えているので、ごまめを食べた経験がないお子さんがいらっしゃるかもしれませんね。

ごまめを知らない世代がふえたら、このことわざは消えてなくなるかも!?。


【開いた口がふさがらない】(ことわざ)
おどろいたりあきれたりして、何もいえなくなってしまうこと。

びっくりして口をぽかんと開けている様子から。
ちなみに、ホントに開いた口がふさがらなくなったときは顎関節症ですので、歯科医院へレッツゴー!


【歯に衣(きぬ)を着せない】(慣用句)
相手の気持ちなどは考えず、思っていることを遠慮なくはっきり言うこと。
口からでることばに、衣服を着せてかくしたりしないということから。


【歯がうく】(慣用句)
あまりにもわざとらしいことばやお世辞などで、いやな気持ちになること。
歯の根がゆるんでういてしまったような、ということですが、これはまさしく歯周病!

歯がうくようなことばも歯周病も、ぜひ避けたいですね。


【歯の根が合わない】(慣用句)
寒さやおそろしさのために、がたがたふるえること。
ふるえがひどくて、歯ががちがちと音を立てる様子から。
でも、よーく考えると、上下の歯の頭が合わないのでは?ちょっと不思議な慣用句です。


【歯が立たない】(慣用句)
相手との力の差が大きすぎて、とてもかなわないこと。
かたすぎて、かめないということから。


【おく歯にものがはさまったよう】(慣用句)
言いたいことや言うべきことをはっきり言わないので、何かをかくしているように感じること。
歯に物がはさまっているとすっきりしないということから。
確かに何かはさまると、舌で取れないものかとがんばってもうまく取れずにいやな気持ちがしますよね。

これが前歯だったら、みっともないから慌てて取りたくなって、違う意味の慣用句になるかもしれませんね!?


【あごで使う】(慣用句)
【あごを出す】(慣用句)
「あごで使う」は、周りの人にいばって命令して、何かをさせること。
手を使わずに、あごを突き出してあちこちを指すようすから。

確かにやけにえらそうに見えますよね。

これに対して、「あごを出す」はものすごく疲れてしまうことをいいます。
歩き疲れると、足が前に出ないで、あごを突き出すようなかっこうになることからだそうです。

同じあごでも表情が違って面白いですね。


【鶏口(けいこう)となるも牛後(ぎゅうご)となるなかれ】(故事成語)
大きな集団に後からついていくよりも、たとえ小さな集団でも上に立つ人間になるべきだ。
「鶏口」はにわとりの口、「牛後」は牛のしっぽという意味。


昔、中国がいくつかの国に分かれていたころ、秦という国が力をつけ、周りの国をなやませていたとき、「力のある秦にしたがって牛のしっぽのようになるよりも、それぞれは小さい国でも、自分たちの国を守るために力を合わせて戦いましょう」と王たちを説得したひとがいたという話から。

 


※以上は、「三省堂こどもことわざじてん」(三省堂発行)より一部引用しました。


2019年07月01日