親知らずで関連痛~副院長の体験談~

 

ご存知ですか?関連痛!

 

副院長ちはるママです。
大変お恥ずかしながら、歯科医師にも関わらず虫歯で親知らずを抜きました。

トホホ…。

 

その言い訳はさておき、虫歯の痛みで初めて「関連痛」を経験しましたので、その貴重(?)な体験をトピックスでご紹介させていただきます。

皆さんは「関連痛」をご存知でしょうか?

 

「関連痛」とは、痛みの原因となっている部位とは違う場所で痛みを感じることです。

痛みは神経が電気信号を脳に伝えて感じていますが、神経は複雑に枝分かれしたものが、あるところで束にまとまるため、まれに脳が勘違いして「関連痛」が起こることがあります。

例えば、誰しも経験したことがあるのは、冷たいかき氷を食べたとき、のどの咽頭神経が刺激されて後頭部やこめかみに痛みを感じることです。
「キーン!」とした痛みは、本当は後頭部やこめかみが痛んでいるのではないのです。

お口の領域では、アゴの関節が痛んでいるのに歯まで痛い、頭痛とともに歯が痛いということがあります。

もちろんその逆もあります。

 

まれには内臓や心臓に異常があって歯が痛むことも。

以前テレビ番組で、「歯が痛いと思っていたら、心筋梗塞だった!」という恐ろしい報告がありました。
腫瘍が神経自体を圧迫して痛みを歯に感じるということもあり、「関連痛」もあなどれません。

そして、歯科医院にいらした患者さんでよくあることは、上顎の歯に原因があるのに、下顎の歯が痛いという訴えです。

左右で間違うことはありませんが、上下ではよく間違いが起こります。

これは、上下の歯の神経が耳付近でひとつにまとまって、脳へと続いているからです。

今回私が体験したのは、まさにこの「関連痛」。

具体的にはどんなだったか、ご紹介しましょう。

 



「関連痛」ってどんな痛み?

 

平成20年11月末、初めて抜歯を経験しました。

歯科医師なのに虫歯?と思われるでしょうが、歯科医師となったのはせいぜい10数年前。

それより前から生えていた親知らずのお掃除が難しいものだと知ったのは、なんとおかもと歯科を開業してからでした。

歯科大学での学習の中には、自分のハミガキトレーニングはなかったのであります。

トホホ…

「医者の不養生」とよく言いますが、まさしく歯医者も不養生。

 

普通のハブラシ1本で磨いていたために、ブラシの当てにくい親知らずが立派な虫歯になっていたのです。(写真)

気付いてからはワンタフトブラシで丁寧に磨き、お薬で進行を止めようとしましたが、常に頬が覆いかぶさる場所なだけに、いつの間にか虫歯は内部へと拡がっていました。

 

こちらは抜歯する2年前の写真。

一番奥の親知らずで、頬側に虫歯あり。
サホライドという虫歯を抑えるお薬を塗っています。

上下4本の親知らずがしっかり生えた、並みの男性より大きなアゴをもっております。

オホホ…
でも、虫歯じゃ情けないなあ。

 

【わたしのだいじな親知らずちゃん】

この写真が抜歯した歯です。

かみ合わせの溝は少し色が茶色いくらいで問題ありませんが、頬側の虫歯部分はグズグズに崩れ、小さなスプーン状の道具(エキスカ)で掘っただけで神経まで届くほどでした。

痛みが出て当たり前の進み具合です。

ちなみに、これは下顎の親知らずですが、1本だけのスリムな根だったので、当院院長がほんの10分もかからずに抜いてくれました。

初めての抜歯がすんなり済んで、それだけはラッキー!と思うことでした。

 



私の関連痛はこんな感じ…

 

さて、この歯の症状は、ハブラシを虫歯部分に当てたときの違和感から始まりました。
右下の奥歯にちょっとちくっとした痛み、あるいは「いやだなあ、触りたくないなあ」という程度でした。

次第に冷たい水でうがいしたとき、甘いチョコレートやあんこたっぷりのお菓子を食べたときに「じわ~ん」と痛み、そのうちそれは「ズキーン」に変化していきました。

ヤバイなあと気にはなっていましたが、ブラッシングとお薬でそれほどの進みはないだろうと甘くみていると、温かいものにまで「じわわ~ん」と長く続く痛みを感じるようになりました。

「院長に診てもらわなくちゃ」と思う頃には、痛むときは耳の手前まで「ジーン」として、なんだか首のこり、肩こりもしてきました。

さらに時がたつと、痛みは下顎の奥歯だけでなく前歯付近に広がり、上顎の歯までなんだか「ズゥ~ン」と痛むようになりました。


特に、私は上顎の前歯で1本だけ神経を取る治療をしたところがあり、その歯が他よりも痛みの感じ方が強いのです。

そこが悪くなったのか?と心配になりそうでした。

痛みは一度起こるとしばらくにぶく続き、つい手を耳の前に当てたくなる感じ。

でも原因の虫歯がある右側のみ。

 

「これは関連痛だよなあ」と思っても、「こんなにいろんな歯が痛むなんて、頭痛も肩こりもあるし、もしかして神経を腫瘍が圧迫しているとか!?」と余計な不安まで生まれてきます。
 
そして、連休を迎えた夜、やはりおいしい夕食もデザートも口にすれば痛む…。


ついに意を決して、すでにビールでほろ酔いだったような気がする院長に「診てみて~」と泣きついたのでありました。
 



原因を取ったら!?
 

歯を抜いたら、本当に今まであった上下顎の歯、頭、肩の痛みがすべて消え去りました。


つくづく、痛みは神経が感じ取っているんだ、脳に続くライン上のどこかで刺激されたら、本当じゃなくても痛いと感じるんだと知りました。

 

今回の「関連痛」で、体の不思議を実感したちはるママでした。

 

皆さんも、どこかに痛みがあるときは「ホントにそこが悪いの?」と疑って、ちゃんと診査してもらいましょうね!


2019年07月01日