ちょっと気になる口臭のはなし

 

口臭とは?

 

口臭とは、お口の中にすむ微生物が作るガスと、鼻や胃、肺などから出てきた臭気を含むガスとが混じって口から排出されたものです。

口臭は、多かれ少なかれ誰にでもあります。

 

でも、人とコミュニケーションをとるのに不快感を与えるほどの口臭は、自分では気づきにくく人には指摘しにくいのでやっかいです。

口臭の原因はいろいろありますが、その8割以上はお口の中にあるとされています。
そこで今回は、お口の中に原因がある口臭についてとりあげます。

 



口臭があるかも?

 

口臭は、自分以外の身近な人(家族や友人)から指摘されて気づくことが多いものです。
その場合は他人に多少なりとも不愉快な思いをさせているわけですから、改善すべき程度の口臭があるといえます。
 
でも、誰も指摘してくれない場合、自分に口臭があるのか無いのかわかりませんね。

 

最近ではガスクロマトグラフィーという測定器で、口臭がどの程度あるのか数値で知ることができるようになりました。

 

鹿児島市では鹿児島大学歯学部付属病院の口臭外来で検査できます。
市販の口臭チェッカーでも簡単な判定ができます。

まずは、身近なご家族や友人に思い切って聞いてみてください。

 



口臭が気になって…

 

日頃、口臭が気になっている方でも、実際ににおいがある場合と、本人が気にするほどのにおいは無い場合があります。

口臭の悩みは歯科医院で相談されることが多く、実際においがある場合、その原因がお口の中にあるのか体の中にあるのかをチェックします。

 

大半はお口の中に原因があるため、まずその治療を行い、それでも口臭が消えないときには医科(耳鼻科や内科等)の検査が必要となります。

また、実際には口臭が無いか、あっても病的な程度ではないのに本人が気になる場合は仮性口臭症といいます。

 

こちらは口臭自体に問題はないので、まず口臭の程度を数値等で知って安心していただき、いつどうして気になるのかをカウンセリングして改善を図ります




お口の中にある口臭の原因

 

お口の中にある口臭の源(原因物質)は、口腔内に常在している細菌によって作り出されています。

唾液や歯垢(プラーク)の中には何兆個という細菌がいて、食べ物のかすなどを栄養源に増殖を繰り返しています。

この細菌がタンパク質を分解、腐敗させることによって作られる硫化水素やメチルメルカプタンといった化学物質(総称して揮発性硫化物)が口臭の原因となります。

では、いったいどこでこの化学物質が多量に作られてしまうのでしょう。

 

そのほとんどは歯周病になったハグキの歯周ポケットであると考えられています。

歯周ポケット(歯とハグキの溝)に汚れがたまり菌が繁殖することで臭いを発生します。


また、舌の表面で細菌が繁殖すると、白っぽい舌苔を作り上げて、においのもととなります。

(正常な舌)

(舌苔)

虫歯や歯周病がひどかったり、義歯が清潔でない場合に口臭が生じます。

また、細菌が繁殖しやすい次のような状況の方は口臭にも要注意です。


 ① 唾液が不足している
 ② 歯並びが悪い
 ③ 正しく生えていない親知らずがある
 ④ 不適合な補綴物がある
 ⑤ 口呼吸をしている




口臭の予防と治療

 

それでは、口臭はどのように予防し治療したらよいでしょう。

◆歯周病の治療
食べ物のかすや細菌のたまりやすい歯周ポケットをなくす。これによって、口臭を作り出す細菌の住みかやそのエサの貯蔵場所を減らす。

◆虫歯や補綴物の治療
むし歯や、壊れたり不適合な補綴物にはプラークがたまりやすく、細菌が繁殖する温床となるため治療する。

◆お口の清掃、義歯の清掃
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロス(糸ようじ)、プラウト(小さいブラシ)などを使って歯垢を除去する。
義歯の清掃には専用ブラシを使い、洗浄剤を併用するのも消臭に効果的。

特に部分床義歯では、はりがねの部位とそれがかけられている歯の清掃も重要。

◆舌の清掃
白っぽい舌苔が付いていたら、舌も清掃する。

人差し指と中指をそろえてガーゼを巻いてこすったり、専用の除去具(タングクリーナー)などで特に舌の根元近くの表面の舌苔を取り除く。

これは毎朝行うと効果的。

なお、歯ブラシは毛先で舌の表面を傷つけるのでお勧めできない。
   
(舌クリーナー)

 

◆定期的な歯科検診
定期的にお口の健康チェックをすることで、口臭だけでなくお口の中の様々なトラブルをひどくなる前に処置できる。

また、毎日行う歯みがきで正しく磨けているのかのチェックをして、自分の歯やお口に適したセルフケア方法を教えてもらうことも大切である。

 



口臭予防対策は?

 

においの強いニンニクやニラなどを食べたあとは誰でもちょっと臭うもの。
こちらは一時的な口臭予防対策で気をつけましょう。

 

市販されている洗口剤(グリーン&スコール、リステリン等)や水歯磨き(GUM、デンターシステマ、モンダミン等)、清涼剤(仁丹、マウスペット等)を使用する場合、静菌効果(菌を増やさない効果)のある薬剤が加えられていれば1~2時間位は一時的な口臭防止に有効です。

 

ただし、薬剤の中には発ガン性が疑われているものもあるので、あまり頻繁に使用することはお勧めできません。

口臭を消す代表的な飲食物を挙げます。


①牛乳:胃の中に入ると悪臭の元になるタンパク質を脂肪の膜で包み込んでくれる。ニンニクに効果大。
②繊維質の多い野菜:果物や繊維質の多い野菜を食べることで口の中の食べかすを取り除く効果がある。また、よく噛むことによって唾液の分泌を促す。

③緑茶、紅茶:お茶の葉にはフラボノイド、葉緑素(700フィル)等のにおい消しに効果のある成分が含まれている。

 



おわりに

 

人には誰でも体臭があり、口臭があります。

 

ある調査によると、気になる体のにおいで成人の5人に1人は口臭を挙げているとか。
それは、口臭が社会生活を送る上で一番大切なコミュニケーションの妨げになるからでしょう。

口臭があると話し相手は近づくのに怯み、会話が弾むはずもありません。
また、口臭を気にするあまり行動が消極的になって、良好な人間関係を築くことができないのも問題です。

とはいえ、口臭の悩みは打ち明けにくいもの。
なんとなく気になっていたら、歯科治療の時に是非話してみてください。
Dr.には言えなくても歯科衛生士などには悩みを訴えやすいことでしょう。

口臭治療のゴールは、患者さん自身が「よくなった」と自覚して「いい息」で楽しくコミュニケーションがとれることと、アフターケアを含めたお口の健康に関する意識を高めることです。

 

誰とでも笑顔で会話できる健康なお口のためにお役に立てるよう、これからもおかもと歯科医院スタッフ一同努力します。

 


2019年07月01日