ちょっと昔(80代のおじいちゃん、おばあちゃんの若き頃)までは、歯を治療するならキラッと光る金歯を見せるようにするのがおしゃれでした。
現代では白い歯が素敵!という意識が高まって、いかにして自然な見た目の詰め物、かぶせ物で治療するかが求められるようになっています。
ところが、いざ患者さんになっても、どんな治療方法があるのか、その長所短所や費用について詳しく知る機会はなかなか少ないようです。
当院の壁に「今月の目で見る治療」として前歯の治療を取り上げたことがありますが、じーっと見つめる方の多かったこと。
そこで、白い歯を入れる治療についてご紹介いたします。
前歯の治療ってどんなもの?
誰でもご存知のとおり、前歯は笑顔のキーポイント!
歯が欠けていたり虫歯やヤニで色が黒くなっていると、せっかくの笑顔も台無しです。
1本でも無かったらとても人前で口を開けて笑えません。
【折れた歯と金歯】
【変色した歯やレジン前装冠】
「前歯」と呼んでいるのは、犬歯(糸切り歯)までの上下それぞれ6本の歯をさします。
歯の治療の中でも特に審美的に気を使うところです。
前歯の治療には大きく分けて2種類あります。
ひとつは、歯とよく似た色の材料(レジン)で詰める治療です。
虫歯の部分を最小限に削り、欠けたところにレジンを詰めて固めます。
近年、レジンの材質や歯との接着性が非常に良くなっており、色も豊富に揃うようになりました。
この長所は自分の歯を最大限に残せること。
そして、治療が1回で済み、保険がきくことです。
短所は、長期間たつと色つやが悪くなる点と、かみ合わせているうちに擦り減ったり欠けたりする点です。
もうひとつは、歯全体を一層削り、上から歯の形をしたかぶせ物(冠)をする治療です。
虫歯が大きかったり、歯の神経を取る治療をした後に行います。
歯を削った後で型を取り、それをもとにした模型上で冠を作るので、最低でも2回の治療が必要です。
この冠の材質には何種類かありますが、保険適用とそうでないものがあります。
患者さんとして説明を受けても、一番迷うところです。
どのかぶせ物にする?
下の写真は、冠をかぶせるための歯の削合後の形と、冠2種類を装着したところです。
写真右:金属の土台に歯と同じ色の材料を盛った構造のもの
金属の土台の表面に盛る材料には、主としてレジン(保険適用)とセラミックス(自費)があります。
写真左:金属の土台を使わないもの
金属の土台を使わない冠には、ハイブリッドレジンのCAD/CAM冠(一部保険適用)もしくはオールセラミック冠(自費)があります。
材料による違いは?
レジン(硬質レジン)はプラスチックに似た硬い合成樹脂で、光や熱で硬化させます。
年々色つやや硬さは良くなっていますが、長期的な耐久性はまだ劣る材質です。
修正が簡単にできること、保険が適用されることが利点です。
ハイブリッドセラミックスは近年開発された新素材で、特殊光で硬化させます。
レジンに比べて色つやが良く、しかも天然の歯の硬さに近い素材です。
ただし、強い咬合力には割れたり擦り減ったりするので、やや耐久性に劣ります。
セラミックスは、レジンやハイブリッドセラミックスよりも硬く透明度の高い素材です。
現時点で自然な歯の色つやに一番近い美しさを出せるのはセラミックスです。
その色つやが長く美しく保たれるのが長所です。
ただ、この弱点は衝撃にもろいことで、強くかみ合う部分には使いづらいことがあります。
簡単なポイントを挙げましたが、実際には歯の形や並び方、かみ合わせ等によっても選択肢が変わります。
上記の長所と短所を参考にしながら、ドクターの意見を聞いた上でお選びください。
※2017年より、金属アレルギーと診断された方は、保険でCAD/CAM冠が作成できるようになりました。
また、金属アレルギーでない方も、部位によっては保険でCAD/CAM冠が作成できます。
詳しくはお問い合わせください。