フッ素ってなあに?

フッ素についてご存知ですか?

私たちは飲料水やいろいろな食品からフッ素を体内に取り入れています。

歯への塗布やフッ素入り歯磨き剤などで、むし歯の予防にも利用されています。

 

でも、フッ素に利点とともに問題点があることは意外と知られていません。

そこで、フッ素の良いところ、悪いところをトピックスで取り上げ、当院のフッ素利用についての考えをお知らせします。



フッ素の良いところ・悪いところ

【良いところ】
 歯の表面にフッ素を塗ると、むし歯菌の出す酸に溶けにくい強い歯に変わります。

【悪いところ】
 ①急性中毒:吐き気、腹痛、下痢、心不整脈、昏睡等
 ②慢性中毒(フッ素を多く含む飲料水を飲みつづけた地域で起こることが指摘されている)
  1)斑状歯(エナメル質形成不全)
   ●歯の色が極端に白くなる
   ●表面がくぼんでザラザラになる
   ●形がいびつになる
  2)骨硬化症(フッ素症)
   ●骨が異常に突出する
   ●関節痛
   ●運動機能障害
  3)現時点では解明されていないが関連が示唆されているもの
    (関連はないという報告もあるがはっきりしていない)
   ●骨発育期の少年に見られる骨肉腫
   ●30歳以下の若い母親からのダウン症児の出生
   ●高齢者の腰部骨折



むし歯予防でフッ素を利用すると?

 

むし歯予防で利用されているのは、主に歯科医院で行うフッ素塗布とフッ素入り歯磨き剤です。

これに使うフッ素濃度は、それぞれ約9,000ppm、950~1000ppmです。
(ppmは濃度の単位で、1000ppmは1g中に1mgのフッ素が配合されていることを示す)

自然界にはフッ素を含む水、食べ物がたくさんあります。その濃度はおよそ次のとおりです。
 飲み水、緑茶、ビール:0.1~ 0.8ppm
 りんご、大根    :0.2~ 1.9ppm
 牛肉、魚(いわし) :2.0~20.0ppm

日本の成人では毎日約0.5mg程度のフッ素を食品や飲み物から摂取していると言われます。

日常使われるフッ素入り歯磨き剤の場合、うがいをしたあとにお口に残る量は成人では平均12%、3~5歳では平均15%といわれます。

例えば1000ppmの歯磨き剤を0.3g使用したお子さんでは、お口の中のフッ素残留量は約0.045mgとなりますので、一日3回歯磨きを行うと約0.135mgを飲み込んでいることになります。

これは、約150mlの緑茶に含まれるのと同じ量ですので、ちゃんとうがいで吐き出せるなら心配いらないと考えられます。

ただし、歯磨き剤を使った後十分うがいして出さなかったり、歯科医院でフッ素塗布した後でお口に溜まった唾液を十分に吐き出せないと、高濃度のフッ素を飲み込んでしまうことになります。

飲み込んだフッ素はまず胃の中で毒性の強いフッ化水素酸に変わり、血液に入って全身に流れていくとされています。
全身をめぐったフッ素は、成人では90%が尿中に排泄され、残りは骨に沈着します。

ところが子どもでは成人より排泄が少なく、30~40%が骨に沈着するといわれています。
したがって、唾を吐き出したりうがいが上手にできない子どもたちはフッ素を飲み込みやすく、しかも排泄されにくいので、フッ素の害を受けやすいと考えられます。



おかもと歯科医院でのフッ素の利用

 

フッ素には、むし歯予防という利点がある反面、体に対する危険性が指摘されています。

当院では、お口の健康状態やむし歯のなりやすさを診た上で、必要な方にはフッ素の利用をお勧めします。

でも、現時点でむし歯がなく、これから先もきちんとお口の健康管理ができる方にはフッ素は必要ないと考えます。

特に、1歳半、2歳の乳幼児歯科検診の際にフッ素塗布を希望して来院されますが、本当にフッ素が必要かを保護者の方とお話しして利用するか決めています。
利用する場合には、できるだけフッ素を飲み込まないように注意しています。

日常的にご自宅でお使いになるフッ素について、確かに危険性がゼロとはいえませんが、市販されているハミガキ剤やフッ素のジェルはできるだけ飲み込まないように注意すれば安心してお使いになれます。

 

お使いになるかどうかは、お子さんにとってフッ素が必要かどうかでお決めいただく必要があります。

 

例えば、むし歯を作りやすい場合や、歯の質がもともと弱い場合にはお勧めします。

また、うがいができる6歳以上のお子さんでは、特に乳歯にむし歯が多かった場合、生え変わってまもない永久歯をできるだけむし歯にしないという予防的な目的から使用をお勧めします。

 

フッ素を利用する際は、同時にハミガキのしかたや食生活(食事や間食・飲み物の摂り方)についても見直していただくことをお話しています。

 

また、現時点でむし歯がまったくないお子さんにはあえてフッ素に頼る必要はないと考え、むし歯予防のためには定期的な検診をお受けになることをお勧めします。

フッ素はお薬を利用しているのだという意識をもった上で、必要と判断してお使いになっていただきたいと考えます。

どんな薬にも、それを使うメリットとデメリットがあります。
私たちスタッフは、患者さんのお口の健康とともに全身の健康に役立てるよう努力したいと思います。

 


 

【追記】

◆水道水のフッ素化◆

近年、厚生省はむし歯予防の目的で水道水のフッ素化を推進するという方針を発表しています。

しかし、フッ素には上述した危険性があり、誰もが使う水に添加すればむし歯予防に関係のない方(義歯のお年寄りなど)まで不要に摂取することになります。

また、腎臓病の方々には体に負担が大きく問題があると指摘されています。

したがって、当院では水道水のフッ素化には反対します。


◆斑状歯でお悩みの方へ
水道水にフッ素が含まれていた、あるいは添加等を行っていたことが明らかとなっている地域をいくつか挙げます。

歯の形成期にこのような地域で水を飲んでいた方では斑状歯になっている可能性があります。
ただし、すべての方がなるわけではありません。

 ●昭和27~40年 京都市山科地区
 ●昭和38~47年 沖縄本島
 ●昭和30~46年 兵庫県宝塚市
 ●昭和42~46年 三重県朝日町
 ●昭和55~62年 長野県喬木(たかぎ)村
 ●時期不明   愛知県

以上のうち、宝塚市と喬木村ではこの時期に給水された水を飲んで斑状歯になったと認定された人へ、その歯の治療に対する国からの助成制度が施行されています(現在の施行状況は各市町村へご確認ください)。

当方が把握している助成制度についてはこの2地域のみですが、実際には助成してもおかしくないような地域が他にもあるのかもしれません。
斑状歯でお悩みの方は一度かかりつけの歯科医院でご相談ください。

2019年07月01日