サホライドってなあに?

サホライドとは?

おかもと歯科医院では、むし歯の治療や知覚過敏の治療にサホライドを使用しています。

どんなお薬なのか、ご存じない方が多いと思われますのでご紹介します。

 

サホライドは商品名で、正式名称は『フッ化ジアミン銀』。

成分は高濃度フッ素と銀が入っています。

銀による蛋白固定、フッ化物による不溶性塩の生成により、象牙細管を閉塞し、う蝕(むし歯)の進行や象牙質知覚過敏を抑制します。

 

1960年に大阪大学で開発され、1970年にサホライドとして販売が始まりました。

 

長らく日本だけで使用されてきたそうですが、2016年にアメリカ歯科医師会が推奨してから、安価で簡単な虫歯治療材料として、世界でサホライドと同様の製品が相次いで販売され、使用が広がりました。

 

特徴は、むし歯になった部位にのみ銀イオンが吸着し、むし歯の進行を抑えることです。



◆当院では、次のような場合にサホライドを利用します

・削る治療ができない小さいお子さん 

・生える途中の歯で、すでに初期むし歯が始まっている 

・詰め物やかぶせものの縁でむし歯の傾向がある 

・歯根が露出して知覚過敏があったり、むし歯になりやすい



◆サホライドのメリット

 

・薬液を塗るだけなので、患者さまの負担が少ない

・むし歯の進行を抑制できる

・殺菌効果がある

・知覚過敏(冷たいものがしみる症状)を防げる

・保険が適用されるため、費用負担が軽い


◆サホライドのデメリット

 

・歯を黒っぽく変色させる

・味に苦みが強く、唇や頬につくと黒っぽくなるので、塗布時は注意を要する

・完全にむし歯を排除できる治療ではない

・プラークコントロールが悪いと、むし歯の進行を抑えられない

・定期的な塗布や経過観察が必要になる




◆黒褐色になるのはむし歯の部分だけです

 

サホライドで黒く変色するのは、むし歯の部分だけです。

ですから、そこは特に丁寧なハミガキをしてください。

 

時々、小さいお子さんのサホライド治療のあとで、しばらくしてお母さんから

「黒いところがあって心配です」

と相談をうけることがあります。

 

サホライド自体は透明な液体で、塗ってすぐには大きな変化は見られません。

でも、むし歯の部分は徐々に黒くなり、仕上げ磨きで黒さに気付き、むし歯が急に大きく進んだのではと驚かれることがあるようです。

 

サホライドが黒く染めるのは、もともとむし歯があった部分。ですから、見えなかったむし歯がはっきり見えるようになっただけなのです。

特にわかりにくい歯の間のむし歯は、内部が黒く透けてくることで進行に気付くこともできます。

黒いところほどしっかりハブラシとフロスでおそうじしましょう。

 


 

◆サホライドでの変色部分は、のちに削って詰めるなどの治療が可能です 

 

色が気になる場合や、むし歯が進行して歯の内部まで色が染まる場合は、削って詰める、かぶせるなどの治療へ移行することができます。

 


 

◆フッ素との違いは、むし歯の予防か、進行を抑える治療か

 

同じ「塗る」という言葉を使うことから、サホライドとフッ素は混同されがちですが、効果が異なります。


※フッ素:歯の質を強化する予防
歯の再石灰化を促進して歯質を強化します。
また、むし歯菌による酸の生成を抑える効果もあります。


※サホライド:むし歯の進行を抑える治療  フッ素も含まれるので、予防的な効果も期待できます。

 



昔からある、日本で開発された歯科の治療薬であるサホライドについて、おわかりになりましたか?


2020年現在、塗るだけでむし歯の進行を止めるお薬はサホライドだけ。
当院では、お子さんだけでなく、大人の方、特にご高齢の方で根面が露出した場合のむし歯を抑える治療にも活用する機会が多いです。


残念なのは、見た目が大事な前歯には塗りにくいこと。
江戸時代以前の女性や身分の高い男性の身だしなみであったという「お歯黒」が再び流行しない限り、皆さん前歯が黒いのは嫌ですもんね。


黒くならない、サホライドと同じ効果の新しいお薬ができてくれたらと、願わずにはいられません。


2020年11月03日