どうやって歯医者を選びますか?
皆さんは歯の治療に行こうと思ったとき、数ある医院からどうやって歯医者を選びますか?
お医者さんに内科、外科、小児科、婦人科、胃腸科、整形外科などがあるように、実は歯医者にもいろいろあるんです。
ところが、歯科医院が看板に標榜していい科目は「一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科」の4種類と決まっています(平成15年現在)。
ですから、どの先生がどんな治療を得意とするのかは非常にわかりにくくなっています。
昔は歯医者で行われる治療のほとんどがほぼ共通した内容でした。
例えば歯を削って詰める、金属をかぶせる、入れ歯を作る、歯を抜くなど、比較的治療の内容はシンプルでした。
ところが、歯学の発展と共に治療は分化して、今では医科と同じくらいバラエティに富んでいるのです。
そして、そのすべてにエキスパートである先生は皆無といってよいでしょう。
すなわち、自分が必要とする治療について、得意とする先生に診てもらえるとラッキーですが、そうでない先生では治療が効果的に進まない可能性があるということです。
診断・治療が全くできないというわけではありませんが、老人が小児科を受診したり、骨を折った人が内科を受診するのと同じくらいズレてしまうこともあるのです。
患者さんにとっては情報が少ないのでわかりにくく、歯科医師にとっては自分の得意分野を表立って看板に出せないジレンマがあります。
とはいえ、近年専門性を重視する動きが高まっていますので、「○○専門の歯科」といった看板が出る日は近いかもしれません。
今回のトピックスでは、歯科の治療を専門性(治療レベル)という点から取り上げます。
専門開業医について
歯科医院が看板に標榜していい科目は「一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科」の4種類と上述しましたが、一般歯科以外の三科はそれぞれ単独で開業することができます。
皆さんにとって馴染みがあるのは矯正歯科でしょう。
矯正については、早くから他の歯科治療を一切行わない「矯正歯科医院」として開業しています。
また、「小児歯科医院」と「口腔外科医院」も最近増えてきました。
「小児歯科」はその名のとおり成長期の小児を対象としており、成人の患者さんを治療することはほぼありません。
「口腔外科」は、主にお口の中のできもの(のう胞や腫瘍・ガンなど)を取り除いたり、難しい親知らずや埋伏歯の抜歯を行います。
手術を行うこともありますので、医科と同様の全身管理ができる技術と設備が必要です。
いずれにしても、認定医制度などによって専門性が確立されており、その科単独で開業するということはそれだけの特殊な知識と経験が必要となります。
ところが、単独で開業していないからといってその治療ができないわけではありません。
少なくとも看板に「一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科」と標榜してあれば、そのいずれも治療しますという意味になります。
ただし、そのレベルの高低まではわかりません。
例えば(手前味噌ですが)おかもと歯科医院は「一般歯科、小児歯科、矯正歯科」を標榜しています。矯正については認定医の副院長が担当しますので、専門開業医と同じレベルの治療を行うことができます。
でも、他の歯科医院で全く同じ標榜であっても、簡単な矯正治療しかできないという場合もあります。
まり、標榜自体は治療のレベルまで表していないということです。
さて、現在のところ、「小児、矯正、口腔外科」以外の歯科治療は、すべて「一般歯科」と分類されています。
ずいぶん簡単にひとくくりとされていますが、実はこの中の治療にも専門性(治療レベル)の高低があるのです。
標榜はできないこの部分に各歯科医院のカラーが現れます。
治療いろいろ、歯医者もいろいろ
歯科医院で行われる治療には主に次のようなものがあります。
治療の種類 | 内容 |
---|---|
充填または 歯冠補綴治療 |
むし歯で崩れた歯を詰めたり金属の冠をかぶせる |
ブリッジあるいは 義歯(入れ歯)による補綴治療 |
歯を失ったところを補い、かめるようにする |
歯内治療 | 病んだ歯の神経を取り、歯を残す |
歯周病治療 | 歯石を除去し、ハグキと歯槽骨の健康を回復する |
口腔外科治療 | 歯を抜く、口のケガやガンなどを治す |
小児歯科治療 | 子どもの歯の治療や成長発育を管理する |
矯正治療 | 歯並びを治す |
インプラント治療 | 歯のないところに人工根を埋めて冠をかぶせる |
訪問歯科治療 | 寝たきりの方の口腔管理を行う |
その他 | 顎関節症治療、口臭治療、ホワイトニング治療など |
これらのひとつひとつについて、歯科医師の治療レベルに差があります。
「まあまあできる」「やれないことはない」から、「簡単にできる」「確実にできる」「かなり良くできる」「長持ちする」などまで、医院や医師によって治療レベルの高さが異なるのに、そこを標榜することはできないのです。
ホームページなどで、得意です!こんなに素晴らしくできました!と術前後の写真を掲載することも禁止されています。
せいぜい「○○治療に力を入れています。」とアピールすることまで。
例えば、歯科医師 岡本千春がどの治療についてどのレベルか、何が得意で何が苦手か、それを示す手段は限られています。
患者さんにとっては、判断する材料が乏しいのです。
それでも、自らが求める治療を納得した上で選ぶのがこれからの時代です。
「どこの医院でも一緒」ではないことを念頭において、あなたが満足する治療を受けられる医院を選んでいただきたいのです。
それぞれが輝くように
さて、治療レベルの差が患者さんの選択基準となることは、歯科医院にとっては非常に厳しい現実です。
今までは何でもある程度こなせれば良いと考えていたものが、何かしら自分に得意分野がないと患者さんに選ばれない、生き残れないということになれば、必死に勉強するしかありません。
歯科医師自身は、どこに自分の「売り」「得意分野」があるのかおおよそわかっています。
これからはそれをアピールして患者さんをしっかりつかむ、特徴ある歯科医院がたくさん出てくるのではないでしょうか。
そして、より良い治療のために必要なら患者さんを他院にご紹介するよう、歯科医師は他の医師の能力を知り、ともにつながる知見の広さも必要とされます。
それは患者さんへの情報提供であるとともに、星の数ほどある歯医者がそれぞれに輝くための道なのではと考えています。
終わりに
各歯科医院の特徴は今のところ残念ながら看板には標榜できませんが、ホームページをお持ちの先生の多くはご自分の得意分野に力を入れた説明を行っています。
ホームページをのぞくと、きっとそれぞれの医院のカラーが見えてきます。
おかもと歯科も、独自のカラーをしっかり持てるようにがんばらなくては!