知っていれば安心!
お子さんをお持ちのお父さん、お母さんなら、我が子のお口の中をのぞいたときに、これって大丈夫?異常?病気?という不安を一つや二つ抱いた経験があるでしょう。
歯医者に行くほどではないけれど、何だか心配。
身近な人に聞いてもはっきりとした答えは得られないで、なんとなく不安が続く…。
当院の患者さんだけでなく、比較的小さなお子さんをお持ちの方との世間話の中でよく聞かれる、お子さんのお口についての質問を取り上げてみました。
知っていれば安心する情報がいっぱいですよ!
【質問事項】
Q1:子どもの歯はいつ頃生えてくるの?
Q2:生まれたときからすでに歯が1本あるけど、これってどうすればいいの?
Q3:歯の形がハート型なのですが…?
Q4:歯が生えてきたけど、ハミガキが必要ですか?
Q5:上唇の裏側からハグキへつながるスジが前歯の間にまで入り込んでいますが、大丈夫?
Q6:舌のスジが短いようですが、大丈夫?
※指しゃぶりについては別にトピックスで取り上げます。
Q1:子どもの歯はいつ頃生えてくるの?
⇒ 一般的には、はじめての歯は生後7~9ヶ月頃生えます。
といっても、もっと早い場合もあれば、10ヶ月過ぎても生えずにいることもあり、時期的には1歳頃までに生えてくればふつうと考えてよいでしょう。
もし心配な場合にはレントゲンを撮影すれば乳歯がハグキの中にあるかどうかはわかりますが、そこまでするのは2歳過ぎて歯が生えないときで十分です。
なお、はじめての歯は下の前歯あるいは上の前歯から生えることが多いです。
小さな真珠のような白い歯がかわいいものですね。
写真は歯が生える前の赤ちゃんのお口の中。
生後9ヶ月で下の前歯2本が生え始めたところ。
Q2:生まれたときからすでに歯が1本あるけど、これってどうすればいいの?
⇒ 生まれたときすでに歯が生えていることがまれにあり、先天歯と呼ばれます。(左下写真は生後2週間で撮影した先天歯)
先天歯のほとんどは下の前歯で、通常より早く生えてくるので歯の形成が未熟で、表面のエナメル質が薄かったり、色も黄色かったりします。
また、歯根がほとんどできていないので歯がグラグラしたりします。
歯がグラグラして飲み込む危険性があるときは抜歯しますが、特に問題なければそのまま様子を見ます。
先天歯がとがっている場合は、オッパイを飲むとき舌の裏側を傷付けることがあります。
下の写真のように、潰瘍を創ってしまうことがあります。)
その場合はグラグラしていれば抜歯し、ぐらついていなければ歯の形を丸めて様子を見ます。
抜歯しない場合はガーゼなどでそっと汚れを拭いてあげる程度のお手入れで十分です。
様子を見て残した先天歯は、自然と抜け落ちることもあれば、通常の乳歯の1本として永久歯へ交換するまで機能することもあります。
Q3:歯の形がハート型なのですが…?
⇒ 癒合歯(ゆごうし)と思われます。
乳歯の前歯には2本の歯がくっついて1本の歯のようになった癒合歯とよばれる歯がみられることがあります。(下の写真)。
頭の部分が窪んでいるのでハート型に見えますね。
2本の歯のつなぎ目が細い溝状になっていますので、そこがむし歯になりやすく要注意です。
永久歯の生え変わりの際に支障をきたす場合もあります。
むし歯になっていないかのチェックもかねて、定期的に歯科医院で診察を受けたほうがよいでしょう。
Q4:歯が生えてきたけど、ハミガキが必要ですか?
⇒ 歯がほんの少ししか生えていないうちは、あまり神経質にハミガキする必要はありません。
というのは、赤ちゃんのお口は唾液がいっぱいで、それ自体で母乳ややわらかい離乳食を流してお掃除してくれるからです。
でも、ある程度の高さが生えたら、少しずつハミガキしてみましょう。
はじめのころはお口に何かが入る感覚に慣れさせる程度と考えて、やわらかいガーゼをお母さんの指に巻いてそっとなでるように汚れをふき取ってください。
あるいは、ゴム製のやわらかい短いブラシのついた指サックで磨くのが便利です。
ハミガキの姿勢は、お母さんのひざの上に頭を置いて寝かせて磨くとよいでしょう。
ひざの上だとお口の中が良く見えます。
歯が数本生えたら、やわらかめの小さなハブラシで磨き始めましょう。
ブラシの持ち方は、下の写真のようにエンピツ握りがお勧めです。
これは力をあまりかけずに小さな動きで磨けるから。
歯についた汚れは力を加えなくてもブラシの毛先が当たればきちんと落とせます。
ゴシゴシ力を入れて大きく動かすとハグキを傷付けやすいので、痛みでお子さんはハミガキを嫌がることがあります。
あくまでもやさしく磨いてくださいね。
そして、乳歯にはむし歯をつくりやすい危険ゾーンがあります。
下の絵を参考にして、ハミガキのとき特に危険ゾーンにポイントを置いて磨いてください。
なお、乳歯でも歯と歯の間に隙間がなく並んでいるところには糸ようじ(フロス)がお勧めです。
ハブラシよりも喜んでするお子さんが多いですので、ぜひ活用してください。
Q5:上唇の裏側からハグキへつながるスジが前歯の間にまで入り込んでいますが、大丈夫?
⇒ 上唇を引き上げたときに裏側からハグキへつながるスジ(粘膜のひだ)を上唇小帯と呼びます。
生まれたての赤ちゃんでは比較的太くて厚みがあり、乳歯の生えてくる部位の近くについています。
発育するにしたがって次第に細く薄くなり、つく位置も歯から離れていきます。
下の写真は生後6ヶ月から生後10ヶ月、2歳6ヶ月の上唇小帯の変化です。
乳歯が生えそろう前には歯と歯の間にまで伸びていることがありますが、歯を取り巻く骨が成長していくのでだんだんと歯から離れます。
離れるまではハミガキのときブラシの毛先があたって傷をつけないように、特に注意して磨いてください。
なお、まれに上唇小帯が歯と歯の間に太く残っていることがあります。
それによって歯と歯の間に大きな隙間ができている場合は、上唇小帯を切り取る手術をすることがあります。
前歯の隙間が大きいままの場合は、歯科医院でご相談ください。
Q6:舌のスジが短いようですが、大丈夫?
⇒ 下の歯の裏側から舌の裏側につづくスジを舌小帯と呼びます(写真下)。
舌小帯は短いと舌を自由に動かしにくいため、言葉を話し始めるころにそのままだと発音がしづらい問題が生じます。
下のしゃしんのように、舌をべーっと前に出して、自分の下唇より前に出せなかったり、下の先が二つに割れたようになる場合は、舌小帯の位置異常と考えられます。
お近くの歯科医院か口腔外科で相談して切除してもらうとよいでしょう。
手術自体は舌小帯に小さな切れ目を入れて伸びやすくする簡単な切除術ですので、言葉が始まる前に早めにご相談ください。
ほかに気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。