あなたのペットの歯は何本?
皆さんは人間以外の動物の歯がどんなふうになっているか、一種類でもご存知でしょうか。
私(副院長)は子どもの頃にサメの歯(の標本)を間近で見たことがあります。
サメはご存知の通り凶暴な海のハンターです。きっと獲物を捕らえる歯も消耗品なのでしょう。
うろこが重なるように、とがったやじりの先のような歯がアゴの骨の上にたくさん並んでいました。
古くなったら次々と新しい歯に替わるそうで、恐ろしいとともにその整然とした歯の行列が美しく見えました。
さて最近になって、猫の歯にもヒトと同じく乳歯と永久歯があると知り、動物の歯については知らないなあと感じました。
そこでインターネットで検索してみると、いろいろな動物の歯に関する情報が飛び出してきました。
今回はペットとして飼われることが多い身近な動物、猫・イヌ・ハムスターに限定してお口の情報をお伝えしようと思います。
猫の歯
猫の歯は、上下それぞれ前歯が6本、犬歯が2本あります。
臼歯は上8本、下6本ですので、合計で30本あります。
猫の前歯はとても小さくて米粒みたいです。
10年ほどで自然と抜けてなくなってしまうらしいです。
これに対して犬歯は立派で、とがった牙状です。
乳歯もあって、生後3~4ヶ月ごろから抜け替わり、およそ6ヶ月頃には永久歯に生え変わっているとのことですので、完全な乳歯列を確認する機会はめったにないでしょう。
下の写真は高齢猫ぷうちゃんの歯です。
なかなかうまく写せませんでしたが、とがった犬歯と、山状の臼歯が見えます。
2.イヌの歯
イヌの歯は、上下それぞれ前歯が6本、犬歯が2本あり、臼歯は上12本、下14本の計42本あります。
ヒトでは親知らずを含めても32本ですので、10本も多いことになります。
乳歯は2~7ヶ月で永久歯に生え変わるといわれています。
下の写真のように、猫に比べて太くてたくましい歯がそろっています。
こちらはイヌの歯列を表しています
猫とイヌの歯のトラブル
猫やとイヌに見られる歯のトラブルの代表は歯周病です。
ヒトと同じく歯に汚れの固まり(歯石)がこびりつき、ハグキに炎症を起こします。
お口をのぞいて歯石がついていたり、口臭がある場合は、ほとんど歯周病にかかっていると考えて間違いなさそうです。
猫やイヌの歯周病では、痛みのために食事が摂れなくなったり、ひどい場合は歯がグラグラして抜けたり、ハグキの炎症からバイキンが全身に回ってしまうこともあります。
ヒトの歯周病とかわりませんね。
その他にはむし歯や歯の破折がまれにおこるようです。
猫とイヌの歯のお手入れ
本来、猫やイヌは生肉をちぎり取り、噛まずに丸呑みする動物です。
ですから臼歯もすりつぶすための形をしておらず、山がとがっています。
しかし、ペットとして飼われて与えられる食事では歯に汚れが残りやすく、中でもやわらかい缶詰のフードを頻繁に食べていると歯石が多量につきやすくなります。
ドライフードには「歯石予防」のために、やや固めの素材の商品があるようです。
動物病院の多くで、歯周病予防のために猫とイヌの歯もハブラシやガーゼによるお手入れが勧められています。
また、こびりついた歯石は動物病院で取ってもらうことができます。
何だかホントにヒトと同じですね。
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ハムスターの歯
1.ハムスターの歯
近年人気が高いハムスターは、げっし類といって、生きている間前歯(門歯)が常に伸びつづける性質をもっています。
ウサギも同じく前歯が伸びつづけます。
ハムスターの歯はやや黄色っぽく、前歯は上下それぞれ2本、臼歯はそれぞれ6本の、合わせて16本あります。
前歯が伸びすぎるのを防ぐために、いつも何かをかじって歯を削る習性があります。
2.ハムスターの歯のトラブルと対処
過長歯といって、やわらかいえさだけを与えていたり、先天的に下顎が後退していると、前歯が伸びすぎて粘膜や皮膚を傷付けることがあります。
食事もうまくできなくなります。
木や胡桃などをかませて前歯が削れるようにしますが、もし過長するようなら獣医さんに歯を切ってもらう必要があります。
おわりに
猫・イヌ・ハムスターの歯についてのお話、いかがでしたか?
歯はそれぞれの動物の食生活と密接に関わって、役割にあわせて形を変えています。
ペットは本来の食事と異なる餌で育てられることが多いので、その分飼い主がお口の健康管理に目を向ける必要があります。
いろんな動物の歯をジーッと眺めると面白いものです。
動物園でもたまには歯をのぞいてみてください。
そして、ヒトの歯も前歯で噛み切り、奥歯ですりつぶす役割をちゃんとさせてあげるよう、ゆっくりよく噛んでお食事をおいしく味わいましょうね。