ご存知ですか?口内炎
ほとんどの皆さんは、人生で1度くらいは口内炎を経験なさったことがあると思います。
きっかけは、硬い食べ物やハブラシの当てすぎでハグキや頬の粘膜、舌に傷をつけたことだったり、風邪をひいて体調が悪いことだったりします。
放っておいてもそのうち自然に治るから、なにもせずしばらく痛いのは我慢、という対処がほとんどかもしれません。
めったに口内炎のできない方、すぐに治る方は確かにそれで大丈夫。
ところが、中には口内炎が頻繁にできて、食事や会話に始終悩まされているという方がいらっしゃいます。
NHK番組「ためしてガッテン」(平成21年2月25日放送)で口内炎についての放送があったとき、驚くことに1年のうち248日間も口内炎というAさん(当時78歳、宮崎市在住)が紹介されました。
約40年間、口内炎に苦しみ続けていらっしゃるとのこと。
せっかくの食事の楽しみも、口内炎が気になって半減。
これはもう、人生の大きな悩みです。
当院でも、Aさんほどではありませんが、「今日もここにできていて…」とブラッシングがつらそうな患者さんが結構いらっしゃることに思い当たります。
そんな方たちが、一日も早く口内炎の痛みから解放されるように願って、トピックスで取り上げることにしました。
「口内炎」ってどうしてなるの?
口内炎ができて治るまでを絵にしてみました。
ピンクが粘膜の表皮、オレンジは真皮を示します。
①健康なお口の粘膜です。
②傷がつくと…
お口の粘膜は、いつも活発な新陳代謝を繰り返し、新しくつくり変っています。
ところが、魚の骨や硬い食べ物、ハブラシの当てすぎで粘膜に傷ができます。
あるいは、疲れやストレス、体調不良、栄養不良で新陳代謝がうまくできずに、自然と傷(潰瘍)ができることもあります。
お口の中には「常在菌」といって、様々な菌が住んでいます。
その菌が傷口に集まり、増殖することで口内炎が始まります。
③細菌が傷口に集まってくる!
④白血球が傷口の菌と戦う!
傷口から菌が体の中に進入しないように、白血球が防衛にやってきます。
口内炎の痛みは戦いの痛みなんです!
激しい戦いが始まると、傷口は炎症が強まって痛みが出ます。
⑤戦いで痛むときは軟膏!
傷口で激しい戦いが繰り広げられると、痛みが続きます。
そんなときは、ケナログ軟膏やオルテクサー軟膏(副腎皮質ホルモン剤)を塗ると、白血球は「休戦しなさ~い!」と命令がでたと感知して、戦いが穏やかになり痛みが和らぐのです。
(カンジダ性口内炎では使用しません)
でも、傷口やお口の中の菌自体は減っていません。
菌は傷口でさらに増殖して悪さを続けます。
いずれまた白血球団が戦いに戻り、激しい攻防は続くのであります。
⑥菌は減っていないので、戦いは再び続く…
⑦うがいが効く:洗口液で菌を撃退せよ!
口内炎を起こす原因となる菌を減らすのに効果的なのは、洗口液でのうがいです。
これで傷口やお口全体の菌を減らし、戦いに早く終止符を打つのです!
ただし、あまり強力な殺菌効果のある洗口液では、お口の粘膜の細胞も障害を受けることがあります。洗口液のあとに、水でうがいするといいですよ。
⑧戦いが終わり、口内炎が治る!
粘膜が無事再生して、傷口が治ります。
これでちょっとやそっとの菌がいても、体の中へ進入することはできません。
めでたし、めでたし!
口内炎になりやすい方は…
口内炎がよくできてお困りの方は、次のポイントを心がけてみてください。
1.日頃からお口の中にいる菌を菌を減らす
丁寧な歯磨きと、洗口液でのうがいが効果的です。
【当院オススメの洗口液】
★痛みの少ない口内炎や日常の予防的うがいには
アズレイうがい薬(保険適応可)
SP-Tうがい薬
リステリン など。
★痛みがあるときはプラチ・ナノテクトEX
(口内炎に効くアズレイうがい薬)
(のどのがらがらうがいもできる、殺菌効果の高いSP-Tうがい薬)
(市販でいろんな種類が豊富なリステリン)
(口内炎の痛みを和らげるプラチ・ナノテクトEX)
2.お口の粘膜を守る唾液をたくさん出そう!
唾液には抗菌作用があります。
粘膜は唾液による潤いがないと、炎症を起こしやすくなります。
唾液は刺激で出やすくなるので、ゆっくりよく噛んでお食事しましょう。
キシリトールガムでの咀嚼トレーニングも、唾液分泌量アップに効果的です。
お口が乾燥しやすい方は要注意。
アレルギー性鼻炎などの症状で口呼吸をしやすい方は、特に気をつけてくださいね。
3.ビタミン不足かも?
口内炎ができやすい方の1~2割は、ビタミンB不足が影響しています。
その場合は、ビタミンBを多く含む食品を摂るよう心がけたり、飲み薬が効果をあげます。
ただし、不足していない方には効果がありませんので、ご注意ください。
4.体調管理も大切!
風邪などの体調不良、疲れ、精神的ストレスは、新陳代謝の障害となります。
ストレスは、唾液の分泌を抑制することも明らかとなっています。
つまり、代謝も悪いし、粘膜を保護してくれる唾液も少ないとなれば、口内炎ができやすく治りにくいことも容易に予想できます。
ゆっくり休養、おいしい食事でリラックスすることも、口内炎の予防や早い直りにプラスとなりますよ。
※長引く口内炎の中には、治療の方法が異なる場合があります。
また、口内炎だと思っていたら、別の病気(腫瘍など)だったということもまれにあります。
2週間以上治らない口内炎は、必ずかかりつけの歯科医院で診察を受けましょう。